最近ご訪問させていただく戸建て住宅で時折みかけるようになったのが
「空気清浄機能つき全館空調住宅」
1日20L程度(!!)私たちの体に取り込む空気だからこそ、大切にしたい。というコンセプトで空調機メーカー様やハウスメーカー様がいろいろなタイプを販売されているのですが、
こんなに空気にこだわった住宅を建築なさる方のご家族には、喘息やアレルギーがひどかったり、真菌症の診断をうけていらっしゃったり・・・と、とにかくできるだけ綺麗な空気でなければならない理由があって、大切なご家族のために新たに新築~引っ越しをする、という大きな決断をしたのだと、皆さまから伺います。
でも、本当にカタログどおりに、実際に自分の家でも効果があるのかしら?
と、実際には目に見えない空気中のアレルゲン、カビの胞子などが健康に実際に問題を与えてしまうだけに、本当にどれだけ効果があるのかやっぱり少し心配な声をお聞きしたり、中には不安なところは、ちゃんとカビ検査をして調べておきたい!とおっしゃり、実際にお申込みになられる方もいらっしゃいます。
これから空気清浄機能つき全館空調システムを導入しようかと悩んでおられる皆様や実際に建てたけど(建てているけど)荷物をたくさんいれて住んでても大丈夫なのかな?と気になっている皆様に、私たちのいくつかのデータや経験談だけでなく、他に何かお役に立てる情報はないかと探していたら、国土交通省主導の研究論文で分かりやすいものがあったので概要をご紹介いたします。
空気清浄機能を搭載する全館空調住宅への移転前後における室内空気質の評価
日本建築学会技術報告集 第18巻 第38号 239-242,2012年2月
三田村輝章、原澤浩毅、土橋邦生
ブログ作成者による論文の概要
調査対象
ご家族に1人以上アレルギー問題を抱えており、電気集塵式の空気清浄機能を搭載した全館空調システムを搭載した新築に引っ越す8世帯
調査内容
引っ越し前の住宅(旧邸)と引っ越し後の住宅(新邸)※引っ越し後1か月以上経過後にそれぞれ、①浮遊微粒子、②空中浮遊真菌、③ハウスダスト中のダニアレルゲン量を測定
測定結果
①浮遊菌微粒子
新邸では旧邸よりも粒径の小さな微粒子が少なくなっていたが、粒径の大きな微粒子には新邸・旧邸で大きな差はみられなかった。
(ブログ作成者コメント:これは設置してある空気清浄機の特徴によるものと思われます。アレルギーやぜんそくの悪化に関係が強いといわれている微粒子の中でも小さいものなどの数が減っていることは、アレルギー対策としては効果が期待できる状況と思われます)
②空中浮遊真菌
新邸は旧邸と比較して大幅に低かった。
(外気は新邸付近のほうが真菌濃度が高かったにも拘わらず、です)
③ハウスダスト中のダニアレルゲン量
真菌同様、新邸では旧邸より大幅に少ない結果だった。
オールワンの経験より
論文同様に、②の空中浮遊真菌量に関しては、弊社のお客様宅の検査結果でも同様の傾向が認められました。
実際は、旧邸においても、ご家族にぜんそくやアレルギー、真菌症などの方がいらっしゃるため、とても清潔によく掃除されているので、他の一般住宅よりは低い傾向があるのですが、それでも、新邸で全館空調システムを24時間稼働させていると、新邸ではリビングでも寝室でも圧倒的に少ない菌量となっていました。
ということで、カビに関して言えば、空気清浄機能付き全館空調システムを24時間稼働させ続けていると、確実に菌の繁殖を抑え、浮遊している菌量も減らすことができているということになります。
でも、このような結果は、ちゃんと装置が正常でかつ性能を十分発揮できる状態で稼働していてこそだということを忘れないでいてください。
導入したからといって安心して放置せず、
フィルターの清掃、装置のメンテナンス、ダクトのメンテナンスなどについて、きちんとメーカーさんの指示に従って、運用管理することも忘れないでくださいね。
今回ご紹介した論文を原文でじっくり読みたいという方はこちらでダウンロードできますよ^^
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/18/38/18_38_239/_pdf